2003年5月1日号
3割負担でも6割の健保組合が赤字
〜健康保険組合連合会「平成15年度予算による健保組合財政状況(速報値集計等)」
処方せん受取率は全国平均49.8%に
〜日本薬剤師会「保険調剤の動向(平成14年11月全保険分)」
「高次脳機能障害者」に対するサービスを検討
〜厚生労働省「高次脳機能障害支援モデル事業 中間報告書」
国立病院等、重大医療事故の報告義務化へ
〜厚生労働省「医療に係る事故事例情報の取扱いに関する検討部会」報告書
4月1日から7割給付が実施されたものの、6割以上の健康保険組合で15年度も赤字になることが、健康保険組合連合会が4月10日に発表した「平成15年度予算による健保組合財政状況(速報値集計等)」でわかった。赤字額は、過去最高となった14年度の5761億円より4576億円改善し1185億円の赤字となる。赤字組合数は、14年度の1535 組合(90.6%)から985組合(60.2%)に減少した。調査は全組合にアンケートを実施し、回答のあった1443組合についてまとめたもの。
日本薬剤師会は4月10日、2002(平成14)年11月分の保険調剤の動向を発表した。それによると、処方せん受取率の全国平均は49.8%とほぼ5割の水準に達した(対前年同月比4.3ポイント増)。処方せん枚数は3168万8772枚(同106.9%)、件数は4896万7320件(対前年比 102.4%)、調剤点数は286億1185万9000点(同107.0%)と、いずれも増加した。
秋田、佐賀、神奈川、東京、宮城、沖縄の6都県で処方せん受取率が60%を超えている一方、福井、和歌山、石川、京都の4府県で30%未満となっている。
厚生労働省は4月10日、高次脳機能障害者に対する適切なサービスの提供方法を検討している「高次脳機能障害支援モデル事業」の中間報告をまとめた。中間報告書では、医療・福祉関係者に「高次脳機能障害」への共通認識、サービス提供の指針がない現状を指摘。(1)「診断基準案」の提示、(2)リハビリテーション、社会復帰および生活支援の「標準的なプログラム」を作成するための素材となる事例等の集約、(3)検討を要する課題――を盛り込んだ。今後、中間報告書をもとにさらに対象者についてのデータ収集、分析、検討を行い、15年度中に最終報告書をとりまとめる予定。
厚生労働省の「医療に係る事故事例情報の取扱いに関する検討部会」は4月15日に開催した第10回目の会合で、国立病院や大学病院等に対し医療に係る「重大な事例」について報告を義務付ける方針を盛り込んだ最終報告書をまとめた。
最終報告書は、すべての医療機関を対象に事故事例情報を幅広く収集するとともに、医療安全支援センターを経由して患者・家族から提供される情報についても収集するとしている。