2003年8月15日号
四師会が規制改革や来年度予算編成に反対声明
〜四師会「共同声明」
厚労省がレセプト電算処理システムの普及状況を調査
〜厚生労働省「中医協 診療報酬基本問題小委員会」
来年度予算が閣議決定、社会保障関係費は圧縮
〜政府「平成16年度予算の概算要求に当たっての基本的な方針について」
PPA含有薬、PSEへの切り替え指示とさらなる注意喚起
〜厚生労働省 医薬食品局
6人に一人が糖尿病、実態調査速報を公表
〜厚生労働省 2002年糖尿病実態調査
日本医師会、日本歯科医師会、日本薬剤師会、日本看護協会の四師会は7月29日、総合規制改革会議および平成16年度予算編成に対し「断固反対」とする共同声明を発表した。
声明では、総合規制改革会議については「わが国の医療制度を破壊し、国民の生命・健康を危険にさらす規制改革は絶対に容認できない」、「保険給付費の縮小、負担の家計への転嫁を行うことは認められない」などとし、株式会社の医療参入や混合診療、医薬品販売体制の拡充は「社会保障としての医療に対する国家責任の回避」と批判した。
一方、16年度予算編成については、「国民への給付を切り捨てるのではなく、医療安全の向上をはじめとした質の確保のための投資として、必要財源を確保することこそがあるべき対応である」と強調した。
7月31日の中央社会保険医療協議会(中医協)の診療報酬基本問題小委員会に事務局が提出した資料で、平成15年3月現在のレセプト電算処理システムの普及状況は、病院が110か所、診療所が789か所、薬局が2147か所であることがわかった。レセプト電算処理システムの普及目標は、平成16年度までに全国の病院レセプトの5割以上、18年度までに7割以上とされているが、現時点では病院レセプト全体の2.1%にとどまっていた。厚労省は補正予算等の効果が出る15年度には大幅に拡大すると見込んでいる。
政府は8月1日、平成16年度予算概算要求基準(シーリング)を閣議決定した。公共投資関係費などを削減し、一般歳出は昨年と同じ48兆1000億円となった。
社会保障関係費については、高齢者の増加等により自然増として9100億円増が当初予算で見込まれていたが、6900億円まで圧縮された。削減された2200億円の内訳については明らかにされておらず、年金の物価スライドの実施等についても年末まで決着が先送りされた。
厚生労働省医薬食品局は8月8日、塩酸フェニルプロパノールアミン(PPA)を含有する一般用の鼻炎用内服薬やかぜ薬、医療用の総合感冒薬に関して、 2000年の注意喚起後も脳出血等の副作用が発生していることから、安全対策をさらに強化するため、使用上の注意を改訂し薬局等での服薬指導徹底を図っていくことを発表。同時にPPAを、代替薬の塩酸プソイドエフェドリン、硫酸プソイドエフェドリン(PSE)へ切り替えるよう製薬企業に指示した。
http://www.mhlw.go.jp/houdou/2003/08/h0808-1.html
【解説】
塩酸フェニルプロパノールアミン(PPA)は、鼻みず、鼻づまり等の症状の緩和を目的として、一般用医薬品としては、鼻炎用内服薬、かぜ薬、鎮咳去痰薬に含有されている。また、医療用医薬品としても、総合感冒剤に含有されている。(米国等においては、かつて、食欲抑制剤としても承認され、使用されていた)
米国でPPAの服用と出血性脳卒中との発生リスクに関する大規模疫学調査が実施され(1994〜1999年)、米国食品医薬品庁は、「PPAが出血性脳卒中のリスクを増大させる」として、平成12年11月に、製薬企業に対し、PPAを含有する医薬品の米国内における自主的な販売中止を要請している。
これらを受けて、わが国でも平成12年11月に、米国よりも1日最大容量が低いことなどわが国の状況を考慮し、直ちに、当該製品の販売を中止する必要はないものの、心臓病の人や脳出血の既往がある人等は使用しないよう注意喚起し、適正使用の徹底を行った。
しかしその後、PPAを含有する一般用医薬品による脳出血等の副作用症例が4例報告された。これらの症例を含め、平成12年11月の措置後、一般用医薬品で5例、医療用医薬品で2例の脳出血等の副作用症例が収集されている。その多くが、用法・用量の範囲を超えた服用又は禁忌とされている高血圧症患者への使用による症例である(なお、これらの症例は、いずれも回復又は軽快している)。
そこで厚生労働省では、今回、使用上の注意の改訂を指示するとともに、薬局等への情報提供を行うよう指示した。また日本薬剤師会等の関係団体に対し、当該医薬品の使用上の注意を消費者に伝え、服薬指導等を徹底するよう指示している。さらに関係企業に対し、PPAを含有する医薬品から、PSEを含有する医薬品等への速やかな切替えを行うよう指示した。
厚生労働省は6日、「2002年糖尿病実態調査」の速報で、成人の6.3人に1人に当たる1620万人が糖尿病とその予備軍であると発表した。ヘモグロビンA1cが6.1%以上か現在治療中の「糖尿病が強く疑われる人」は全体の9.0%で約740万人。ヘモグロビンA1cが5.6%以上6.1%未満で、治療を受けていない予備軍は全体の10.6%の880万人だった。1997年の第1回調査より50万人増えたが、それ以上に糖尿病予備軍が急増し、200万人増と大幅増となっている。
糖尿病が強く疑われる人は、男性の70歳以上で21.3%と、5年前から10ポイントも増えているが、男女とも60歳未満では減少している。一方、予備軍は男性の30〜40代、女性の20代を除いて増加し、女性の60代では7.2ポイント増の16.0%と目立って増えた。
糖尿病が強く疑われる人のうち、治療中は50.6%で5年前より5.6ポイント増加しているものの、半数は治療を受けていない。
合併症の状況をみると、糖尿病が強く疑われる人の15.8%、予備軍の10.0%が心臓病に罹患していたほか、脳卒中はそれぞれ7.9%、5.3%でみられた。
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2003/08/s0806-4.html