2003年12月1日号
薬事監視立ち入り検査、違反件数は1万2331件
厚生労働省「薬事監視状況(平成14年度)」
延命治療の中止、7割超が支持
〜厚生労働省「平成14年度終末期医療に関する調査」
平成13年度国保財政、赤字総額は4188億円
〜厚生労働省「平成14年度国民健康保険(市町村)の財政状況について」(速報)
世界でエイズ死者、年間300万人
〜国連推計
妊娠時検査でHIV感染に気づく妊婦、年間100 人
〜厚生労働省研究班
厚生労働省医薬局がまとめた「平成14年度薬事行政関係資料」によると、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療用具の製造・販売許可届出施設数49万 3037施設のうち、20万5174施設に対して14年度中に立入検査を実施した。立ち入り検査が行われた施設中8629施設(薬局3424施設)で違反が発見され、違反件数は1万2331件(同5178件)に上った。
違反内容は、・毒劇薬の貯蔵陳列1268件、・構造設備の不備967件、・虚偽・誇大広告等485件の順で多く、特に薬局の場合、「構造設備の不備」と「毒劇薬の貯蔵陳列」で計1229件(23.7%)を占めていた。
自分が末期がんなどで痛みを伴い、かつ余命に限りがある場合に、単なる延命治療は中止して欲しいと考える国民が7割を超えることが、厚生労働省が公表した「終末期医療に関する調査」で分かった。
調査は20歳以上の一般国民5000人と医師・看護職員ら8000人余を対象にアンケートし、回収率は51%。
「単なる延命治療はやめたほうがいい」「やめるべきだ」と答えた一般国民は74%。医師、看護職員では、それぞれ82%と87%が自分が同様の状況ならば延命治療は必要ないと答え、一般の数字を上回った。
また前もって、延命治療を拒否する考えを文書で残す「リビング・ウィル」(生前の意思表示)に賛成する人は、一般で59%(前回48%)と初めて半数を超えた。医師と看護職員ではともに75%(同70%と69%)だった。
厚生労働省保険局は、11月19日に「平成14年度国民健康保険(市町村)の財政状況について」の速報を公表した。
それによると、一般被保険者分、退職被保険者分、介護保険分とを合せた収入合計は9兆8565億円、支出合計は9兆8359億円で、206億円の赤字となることがわかった。さらに、収入支出から基金繰入(取崩)金、(前年度からの)繰越金、基金積立金及び前年度繰上充用(欠損補填)金等を除いた「単年度収支差引額」では赤字額が2585億円に上り、一般会計繰入金に含まれている赤字補填分を除いた場合の赤字総額は4188億円。
保険料収入については対前年度2.5%(827億円)増、保険給付費は同1.1%(621億円)といずれも低い伸びだったが、老人保健拠出金については同14.2%(4649億円)の大幅増だった。
国連は、世界でエイズウイルス(HIV)に感染している人が03年末に4000万人、死者は年間300万人に達するとの最新推計を発表した。地域別の感染者数はアフリカ(サハラ以南)が2500万〜2820万人と圧倒的に多く、成人人口の感染率が約8%に達している。続いて南・東南アジアで460万〜820万人と推計している。実際の感染者数、死者数は、ともに年々増加傾向にあり、03年、新たに感染した人は500万人と推定している。
日本については、感染者の数が増加傾向にあり、01年、02年には新規感染者が年間600人を超えて、90年代の2倍の水準になっている。
妊娠時の検査でエイズウイルス(HIV)感染に気づく日本人の妊婦が99年以降に増えたことが、厚生労働省研究班の調査でわかった。大都市圏だけでなく、地方都市でも確認され、外国人を含めると全国で年間約125人に上ると推計されるという。ただ検査実施率は都道府県によって33〜100%近くと差が大きく、見逃されている恐れもある。
妊婦へのHIV検査が普及してきたことも影響しているが、性行為による感染が広がり、妊娠時の検査で初めて感染に気づくケースが増えている。
妊婦がHIVに感染していても、妊娠中から抗HIV薬を飲む、帝王切開する、母乳を飲ませない、などの対策で母子感染はほとんど防げるため、検査による早期発見を呼びかけている。