2003年12月31日号
4割超が1月以内に複数の医療機関を受診
〜厚生労働省「平成14年受療行動調査の概況」
診療報酬1.0%下げ、本体部分は横ばい
〜政府方針
厚労大臣が医療事故対策に関する緊急アピール
〜厚生労働省「厚生労働大臣医療事故対策緊急アピール」
入退院前後の居住場所は「家庭」が9割
〜厚生労働省「平成14年 患者調査の概況(2002)について」
救急救命士による薬剤投与、OK割
〜厚生労働省・消防庁
コンビニなど小売店で約350薬品が販売許可へ
〜厚生労働省ワーキンググループ
外来患者の欲しい情報は「医師の専門分野」、入院患者が入院にあたって欲しい情報は「入院に必要な経費」であることが、12月16日に厚生労働省が発表した「平成14年受療行動調査」(有効回答488施設・11万7334人)で明らかになった。
調査によると、1カ月以内に「複数の医療機関を受診した」外来患者は44.3%に上り、それらの医療機関数は「1カ所」が63.0%、「2カ所」が 24.1%だった。複数の医療機関を受診している患者のうち、そのことを医師に伝えている患者は49.4%にとどまっており、伝えていない患者が 22.9%に達していた。
政府は2004年度に医療機関に支払う診療報酬(医療費)を薬・医療材料価格を含めた合計で1.0%下げる方針を決めた。
前回02年度に続くマイナス改定ではあるが、薬・材料部分で1.0%下げ、医師の診療行為や調剤行為、看護料への報酬である「本体部分」はプラスマイナスゼロとなった。
物価や賃金の下落から本体部分の下げも示唆されていたが、安全対策費の確保などを理由に本体部分のマイナス改定は見送られた。
坂口厚生労働大臣は12月24日、「人」、「施設」、「もの」の三つを柱とした「厚生労働大臣医療事故対策緊急アピール」を発表した。
医薬品・医療機器・情報等の「もの」に関する対策としては、「薬剤等の使用に際する安全管理の徹底」として・医薬品における2次元コード・ICタグの利用、・名称・外観データベースの整備、・抗がん剤等の投与に際して特に慎重な取り扱いを要する薬剤の処方に際する条件の明確化――などは挙げられた。
厚生労働省が12月25日に公表した「平成14年 患者調査の概況」(調査対象:病院6451施設・患者280.1万人、一般診療所6037施設・同 25.2万人、歯科診療所1274施設・同2.3万人、調査日:10月8〜10日のうち1日)によると、外来患者の傷病種類で最も多かったのは消化器系の疾患(18.7%)、次いで循環器系の疾患(13.8%)、歯及び歯の支持組織の疾患(13.7%)、筋骨格系及び結合組織の疾患(13.6%)となっていた。
また、入退院の前後の場所をみると、「家庭」(91.4%)から「家庭」(91.9%)が9割を占め、「他の病院・診療所に入院」(3.7%)から「他の病院・診療所に入院」(34.5%)は少数だった。
厚生労働省と消防庁は心肺停止状態で搬送中の患者に対する蘇生(そせい)のための薬剤投与を、救急救命士に認める方針を決めた。
今回、投与が認められるのは心停止の補助治療に用いられるエピネフリン。実際に投与するには約250単位(1単位50分)の追加講習が必要で、救急現場で実践されるのは2006年以降になる見通し。
コンビニエンスストアなど一般小売店で販売できる医薬品の選定を進めていた厚生労働省のワーキンググループ(座長・斎藤洋東大名誉教授)は16日、副作用の恐れが少ないと判断した、風邪薬(塗るタイプ)や一部の整腸薬、消化薬や下剤、うがい薬、ビタミン含有保健薬、殺菌消毒薬など計15製品群、約350種類の販売を認める検討結果を公表した。販売に薬剤師の説明が必要ない「医薬部外品」に指定したうえで、半年後にもコンビニなどでの販売が始まる見通しだ。