2004年9月1日号
処方せんなどの電子データ化を認める方向へ
〜法案概要
妊婦に「飲める薬」の情報を提供、厚労省が体制整備へ
〜厚生労働省「妊婦とクスリ相談センター」(仮称)
政管健保のレセ点検、社保庁主導で充実化
〜社会保険庁「診療報酬明細書等の点検調査について」
15年度医療保険医療費は前年度比6300億円増
〜厚生労働省「医療費の動向(平成15年度版)」
カルテや処方せんの電子保存を認める法案の概要がまとめられた。政府がまとめた電子文書法案の概要では、民間企業などに保存を義務付けている文書の電子データ化を認める方針。対象となる文書は、事業報告書や役員会議事録など企業活動にかかわる文書に加え、医療機関の診療録(カルテ)や薬の処方せんなども対象にすることが決められた。10月をメドに召集する臨時国会に法案を提出し、来年4月施行を目指す。
厚生労働省は平成17年度、国立生育医療センター内に「妊婦とクスリ相談センター」を新設する方針を固めた。対象となるのは、治療のために服用中の妊婦や、持病で長期的に服薬していて妊娠を希望する女性。
同センターでは、「飲んでも大丈夫」な薬の情報を専門医や薬剤師が窓口となって収集・分析し、妊婦等の相談に応じるが、さらにメーカーの添付文書にもそれらの情報を反映させる。相談は、当面は対面もしくは主治医を介した形式となるが、将来的には妊婦等からの電話相談を直接受け付けることも視野に入れている。
社会保険庁は8月4日付けで「診療報酬明細書等の点検調査要綱」を改正した。新要綱は、レセプト(診療報酬明細書および調剤報酬明細書)点検を充実し、とくに縦覧点検(3カ月連続したレセプトをつき合わせる)を重視する内容となっている。
さらに、再審査請求の結果「容認」となったレセプトの事例集の作成や、社会保険庁の設定する目標のほかに各社会保険事務局もレセプト点検調査の目標を決めてその達成に取り組むよう指示するなど、強力にレセ点検充実化を図る。
厚生労働省のまとめで、平成15年度の医療保険医療費は前年度より6300億円増の30兆8000億円だったことがわかった。
14年度は、診療報酬のマイナス改定や高齢者の窓口負担が完全定率制になった影響で医療費の伸びが抑制されたが、15年度は被用者本人以外すべて増加に転じ、2.1%の増加となった。
診療種類別にみると、医科入院は対前年度比2.0%増の12兆6000億円、入院外は同0.7%増の11兆7000億円、調剤は同9.9%増の3兆9000億円。