2004年12月1日号
薬局の9割以上で総価契約
〜厚生労働省「医療用医薬品の流通改善に関する懇談会」
薬剤師以外の守秘義務、小規模薬局も対象
〜厚生労働省「医療機関等における個人情報保護のあり方に関する検討会」
16年度DEMはPPIの味覚異常がテーマ
〜日本薬剤師会「16年度 DEM事業の実施方法について」
「痴呆」改め「認知症」に変更へ
〜厚生労働省
厚生労働省の「医療用医薬品の流通改善に関する懇談会」に、日本保険薬局協会(NPhA)と日本医薬品卸業連合会(卸連)が総価契約(いわゆる「総価山買い」)について状況調査の結果を提出した。
NPhAが年商80億円以上のチェーン保険薬局企業12社に実施した調査によると、全社がなんらかの形で総価契約を行っていた。本社が一括して卸と価格交渉を行っているのは9社(75%)で、総価契約については8社が「両者で話し合いの上、合理性を重んじて合意して契約」したとしている。
一方、卸連の調査では、200床以上の病院3155件のうち総価契約は1509件(47.8%)で、20店舗以上の調剤薬局チェーン174件では165件(94.8%)が総価契約だった。価格妥結までの期間は、病院・薬局とも「6ヶ月以上12ヶ月まで」が多かった。
11月19日の厚生労働省の「医療機関等における個人情報保護のあり方に関する検討会」で、来年4月1日から全面施行される「個人情報の保護に関する法律」(個人情報保護法)に、医療分野の個別法を制定しない方向が固まった。
医療機関や薬局などが個人情報を扱うに当たって、事務局が提示したガイドライン案では、法では除外されている個人情報の取扱い件数が5000件以下の医療機関や薬局などの医師や薬剤師等以外のスタッフにも守秘義務を規定(努力義務)。委員からは、実効性の担保が重要等の指摘が挙がった。
同ガイドライン案は、19日の検討会に欠席した委員の意見や、パブリックコメントで寄せられた意見を反映した上で再検討され、次回検討会でまとめる予定。
日本薬剤師会は11月19日の定例記者会見で、来年2月21〜27日に実施する16年度DEM(Drug Event Monitoring)事業の実施概要を明らかにした。
16年度は、プロトンポンプ阻害薬(PPI)の「味覚異常」の発現頻度をテーマに実施する。調査対象薬は、以下のとおり。
<オメプラゾール製剤>
「オメプラゾン錠10mg/20mg」(三菱ウェルファーマ)
「オメプラール錠10/20」(アストラゼネカ)
<ランソプラゾール製剤>
「タケプロンカプセル15/30」(武田薬品工業)
「タケプロンOD錠10mg/20mg」(武田薬品工業)
<ラベプラゾールナトリウム製剤>
「パリエット錠10mg/20mg」(エーザイ)
<H.pylori除菌薬>
「ランサップ400/800」(武田薬品工業)
モニタリングの対象となるのは、調査期間に来局した患者のうち薬歴等から調査当日もしくは前日まで上記の対象薬を服用していると考えられる患者で、持参した処方せんにPPIがなくても対象となる。モニタリングでは、味覚異常の有無の他、タイプ、服用から味覚異常の発現までの日数、併用薬の有無などを調べる。結果は、来年10月頃発表予定。
厚生労働省では、「痴呆」にかわる呼称を検討してきたが、このたび、「認知症」とする方針を固めた。
「痴呆」という表現には蔑視(べっし)的な意味が含まれ、「何も分からず、何もできない」との誤解を招きやすく、早期診断などを妨げる一因との指摘があった。このため厚労省は6月から新たな呼称を検討してきた。
12月24日の次回会合で正式に決める予定。決定後、介護保険法など関係法令を改正する一方、来春までに行政文書などでも「認知症」への切り替えを目指す。