2004年12月15日号
約8割の病院がGEの採用拡大
〜日本ジェネリック研究会「第3回日本ジェネリック研究会学術大会」
価格交渉は「経済合理的に行われるべき」
〜厚生労働省「医療用医薬品の流通改善に関する懇談会」
混合診療問題、引き続き検討
〜政府「経済財政諮問会議」
政府管掌健康保険が2007年度赤字に
〜社会保険庁
11 月27日に開催された「第3回日本ジェネリック研究会学術大会」で、独立行政法人国立病院機構長野病院の武藤正樹副院長が全国217病院のジェネリック医薬品の導入状況を発表した。10月にアンケート調査した結果をまとめたもので、回答病院の76%が国公立病院や公的病院。
ジェネリック医薬品の採用について、「拡大している」36%、「検討中」42%と、積極的な採用拡大の傾向にあることが明らかになった。採用率が高い品目は、(1)インクレミンシロップ、(2)キシロカインポンプスプレー、(3)メチコバール錠など。
12月7日、医療用医薬品の流通改善に関する懇談会は(1)医療用医薬品の取引、(2)医薬分業の進展、共同購入・一括購入に対応した情報提供のあり方、(3)返品の取扱い、(4)その他――の4項目で構成する「中間とりまとめ」(案)をまとめた。
その中で、卸と調剤薬局等の価格交渉について「個々の契約当事者間において経済合理的に行われるべき」、「契約に基づいた取引が行われるべき」と明記。チェーン等の一括購入や総価取引については、取引費用の低減効果を認めつつも、「医薬品の価値と価格を考慮」した医薬品採用の決定、購入量や配送費用等を考慮した経済合理的な価格交渉を求めた。
尾辻秀久厚労相は12月8日の経済財政諮問会議に、「混合診療」問題に対する厚労省の基本的考え方を示した。
現行の特定療養費制度の拡大を前提に、患者の切実な要望に的確に対応するため、将来的に保険導入するかどうかの観点から見直しを行う。さらに、技術ごとに「一定の水準の要件」を設定した上で保険診療と保険外診療の併用が認められる領域を拡大する。「できるものから順次実施」し、平成18年に提出予定の医療保険制度改革法案の中で「名称も含め、法制度上の整備を行う」と明記した。
諮問会議では、厚労相の提示した対応方針に「納得しなかった」(竹中平蔵経済財政担当相)ため、尾辻厚労相に引き続き詳細な説明を求めることとなった。
社会保険庁は、中小企業の従業員らが加入する政府管掌健康保険(政管健保)について、保険料が現行のままの場合、収支が2007年度から赤字転落すると発表。08年度には積立金である事業運営安定資金も底を付く見通しだ。
政管健保は中小企業社員とその家族のために国が運営しており、加入者は約3600万人。現在は年収の8.2%分の保険料を労使で折半負担している。医療費の本人負担を2割から3割へ引き上げたことや総報酬制の導入などの影響で、2003年度決算は11年ぶりの黒字となった。2005年度は400億円の黒字が見込まれているものの、その後は高齢化に伴う保険給付や拠出金など歳出の伸びが保険料収入の伸びを上回るため、徐々に悪化し、2007年度に赤字に転落、2009年度には3000億円の赤字額に達すると見込まれている。