2005年9月15日号
薬剤師養成事業に予算充当
〜厚生労働省「2006年度医薬関係予算概算要求の概要」
長期処方について日医委員が中医協で問題提起
〜中医協「総会」
薬の配達代は患者から徴収可能と通知で明確化
〜厚労省「療養の給付と直接関係ないサービス等に関する通知」
厚生労働省医薬食品局は、2006年度医薬予算概算要求に05年度より3億5200万円増の96億4300万円を計上した。内訳は、医薬品・医療機器等対策に63億1400万円(対前年度比1億 6600万円減)、薬剤師の資質向上等対策に3億4300万円(同2億1800万円増)など。
来年度は薬学教育6年制の開始年度に当たるため、長期実務実習の指導に当たる薬剤師の養成には前年度より2200万円増の5400万円を充てる。さらに、新たに1億1500万円の予算を充てて、がん薬物療法など専門分野の高度な知識や技能を有する専門薬剤師の養成事業に着手する。
日本医師会の松原謙二委員は8月31日の中医協・総会で、医薬品の長期処方制限が原則撤廃されて以降、抗菌剤や降圧剤なども数カ月単位で処方されている実態を指摘し、支払基金の審査委員会等に審査権を認めて、レセプトチェックを行うなど対策が必要と訴えた。
降圧剤等を長期処方することは「ルール違反ではないが、患者の安全上問題がある」との松原委員の問題提起に対し、日本薬剤師会の漆畑稔委員は、「数カ月単位の長期投薬は、療養担当規則に関する問題と安全性の問題との両面から考えるべき」との認識を示し、患者の症状の変化にも対応可能な「分割調剤」で薬剤師が長期処方に関与する利点をほのめかした。
厚生労働省は、保険診療(健康保険による療養の給付)と直接関係ないもので、患者から実費を徴収できるサービスについて、9月1日付で通知を発出した。通知で示された実費徴収の対象となるサービスの具体例は、「公的保険給付とは関係のない文書の発行に係る費用」(おむつ代等)、「診療報酬点数表上実費徴収が可能なものとして明記されている費用」(薬剤の容器代(原則として保険医療機関等から患者へ貸与するもの)等)、その他――など。保険薬局に関するサービスとしては、患者宅へ調剤した医薬品を持参した場合の持参料などが該当する。
これらの費用の徴収するにあたっては、薬局内の見やすい場所にサービス内容と料金を掲示する他、患者さんへの説明と文書による同意、調剤とは別の領収書の発行等が必要となる。徴収額は「社会的にみて妥当な金額」とされており、持参料なら交通費プラスアルファ程度の金額が想定される。