2005年11月1日号
75歳以上の後期高齢者医療制度、自己負担は1割
〜厚生労働省「医療制度構造改革試案」
医療連携体制で薬局を医薬品供給拠点として位置付け
〜厚労省「社保審・医療部会」
特例的な診療報酬設定に医師会が反対
〜中医協「総会」
厚生労働省は来年度の通常国会に提出する医療制度改革について、医療費の適正化や新たな高齢者医療制度(後期高齢者医療制度)の創設等をまとめた試案を公表した。
試案によると、前期高齢者(65〜74歳)は、加入している国保または被用者保険に引き続き加入するが、後期高齢者(75歳以上)については、市町村が運営する新たな医療制度に加入することになる。自己負担割合は、後期高齢者については現行どおり1割負担だが、前期高齢者は2割負担(実施は2008年度、現役並み所得者は3割負担)となる。また、在宅医療や終末期医療を重視した「後期高齢者の心身の特性等にふさわしい診療報酬体系」を設ける考えも盛り込まれた。
厚労省は10月20日の社保審・医療部会で、薬局を地域の医療提供施設として位置付けるなどの考えを示した。分業率が50%を超え、在宅医療における薬物療法の提供や、休日、夜間の医薬品の提供、慢性疾患患者に対する服薬管理などで薬局が幅広い役割を果たすことに期待が高まっているためで、病院や診療所の連携体制を整備する中で、薬局を医薬品等の供給拠点として地域医療の中に位置付ける。
具体的には(1)医療計画への位置付け、(2))薬局機能に関する一定の情報の届出・公表の制度化、(3)安全管理体制の整備、(4)医薬品に係る情報提供・相談体制の整備――の4点について実施へ向けた取り組みを行う。
10月26日の中医協・総会で、19日に厚生労働省が公表した「医療制度構造改革試案」について議論された。焦点となったのは、試案に盛り込まれた都道府県医療費適正化計画で、平均在院日数に係る政策目標が達成できない都道府県のみに設けられる特例的な診療報酬の設定について。診療側からは「国民皆保険の理念に反する」との批判が、支払い側は「具体的にイメージできない」と記載内容の曖昧さに対する疑問が挙がった。厚労省保険局は、「特例的な診療報酬を定めるのは都道府県ではなく国」と説明したが、実施までに約20年あることを理由に、具体的な点は今後検討するとした。