2005年11月15日号
虐待高齢者の通報義務を規定
〜政府「高齢者虐待防止・介護者支援法」
医師の禁煙指導を次期改定で保険適用
〜中医協「診療報酬基本問題小委員会」
医療保険部会で次期改定の基本方針を提示
〜厚労省「社保審・医療保険部会」
10月31日、高齢者虐待防止・介護者支援法(以下、高齢者虐待防止法)が参院本会議で可決・成立した。同法は、医療機関を除く介護保険施設や在宅サービスなどの従事者に対し、施設や在宅で虐待を受けて生命や身体に危険が及んでいる高齢者を発見した場合などに、市町村に通報する努力義務を規定している。
通報を受けた市町村は、地域包括支援センターの職員などに立入調査をさせる権限をもつ。虐待の定義には、身体的な暴行だけでなく、食事を与えないなどの介護放棄や、怒鳴ったり無視するなどの心理的虐待、財産を奪うなどの経済的虐待が含まれる。同法は来年4月から施行する。
禁煙指導を次期改定で保険適用化する議論が、中央社会保険医療協議会・診療報酬基本問題小委員会で始まった。厚労省は保険適用の理由として、ニコチン依存を疾病と位置付け。禁煙したくても、ニコチン依存が高いために離脱症状が強く、禁煙が達成できない人に対する医師の指導を評価する。
初診では、患者の喫煙状況や禁煙関心度、ニコチン依存度などを確認し、禁煙開始日の設定や禁煙補助薬の選択と説明などを行う。さらに、2週後、4週後、8週後、12週後に、禁煙状況の確認や継続するためのアドバイスなど、医師が患者の禁煙を継続的にサポートする。
厚労省は11月10日の社会保障審議会・医療保険部会で、2006年度診療報酬改定の基本方針を提示した。その中で、次期改定の論点として、<1>基本的な医療政策の方向性と具体的な診療報酬点数との関係の整理、<2>患者から見てわかりやすく、患者の生活の質(QOL)を高める医療の実現、<3>質の高い医療を効率的に提供するための医療機能の分化・連携の推進、<4>医療費の配分の中で効率化余地があると思われる領域の評価のあり方――など7点を列挙した。
前回改定までは中医協で改定の基本方針を決めていたが、中医協のあり方の見直しに関連して、次期改定から、基本方針は社保審の医療保険部会と医療部会がまとめることとされ、10日の医療保険部会では11月中に部会としての基本方針を取りまとめることを確認した。なお、改定率は内閣が決定する。