2006年7月15日号
来年度早期の「がん対策推進基本計画」策定目指す
〜厚労省「第3回厚生労働省がん対策推進本部」
高齢者世帯の5割超が「生活が苦しい」
〜厚労省「国民生活基礎調査の概況」
都道府県に窓口設置し患者さん等の不安・相談へ対応
〜厚労省「療養病床の再編成に関する相談体制の確保等について」
がん対策基本法が6月16日の参院本会議で可決・成立したことを受けて厚生労働省は28日、川崎厚労相ら15人で構成する「第3回厚生労働省がん対策推進本部」を開いた。
基本法(2007年4月1日施行予定)では、「がん対策推進基本計画」案を厚労相が策定し、閣議決定することとされたため、川崎厚労相は、策定に係る審議会として「がん対策推進協議会」を設置するなどの準備に着手する方針を示した。
基本法が掲げたがん対策の基本的施策は、<1>がんの予防及び早期発見の推進、<2>がん医療の均てん化の促進、< 3>がん研究の推進等――だが、厚労省が策定する基本計画には、より具体的な施策を盛り込み、都道府県はそれに基づき地域のがん医療の提供状況などを踏まえて「都道府県がん対策推進計画」を策定する。
厚生労働省が6月28日に公表した「2005年国民生活基礎調査の概況」によると、05年6月2日現在、「高齢者世帯」は834万9000世帯で全世帯の17.7%(対前年比0.7%増)を占めていることがわかった。このうち65歳以上の単独世帯が406万9000世帯(全体の8.6%)、夫婦のみの世帯が407万1000世帯(同8.7%)に上り、全体の2割弱が高齢者のみの世帯だった。
また、高齢者世帯の1世帯当たり平均所得金額は、対前年比1.8%増となったものの300万円に満たない296万1000円にとどまっており、54.7% の世帯が「生活が苦しい」と感じていた。高齢者世帯の所得の内訳は、公的年金・恩給:69.6%、稼働所得:20.4%で、所得のすべてが「公的年金・恩給」である世帯は62.6%だった。
7月1日から診療報酬で医療区分等に基づく新たな療養病棟入院基本料がスタートし、医療区分の低い患者は転院や在宅療養への移行を促されるなど入院患者等に不安が生じていることから、厚生労働省は、各都道府県に患者や医療機関等からの相談・照会に応じる窓口の設置を進めている。相談窓口の開設は4月13日に開催された療養病床に関する都道府県説明会で要請されたものだが、療養病棟入院基本料2のスタートに当たって、改めて都道府県に事務連絡し、相談体制の整備を重ねて要請した。
事務連絡では相談窓口の設置に加えて、<1>説明会などを通じた患者や医療機関等への情報提供の推進、<2>「地域ケア整備指針(仮称)」策定のための情報収集と国への情報提供――も求めている。