2007年4月1日号
循環器官用薬が国内生産金額の2割占める
厚労省「2005年薬事工業生産動態統計年報の概要」
新たに急性腎不全など10種類のマニュアルを公表
厚労省「第3回重篤副作用総合対策検討会」
厚労省が“スイッチOTC薬化”を促進
薬食審「一般用医薬品部会」
厚生労働省が3月20日に発表した「2005年薬事工業生産動態統計年報の概要」で、05年の医薬品の国内生産額は6兆3907億2200万円だったことがわかった。
医薬品生産額の内訳をみると、構成比89.8%を占める医療用医薬品が5兆7412億8000万円(対前年比5.5%増)、9.6%を占める一般用医薬品が6494億4200万円(同4.6%減)、0.6%の配置用家庭薬が379億5100万円(同14.2%減)で、医療用医薬品のみ昨年を上回る生産額だった。
薬効分類別では、循環器官用薬が1兆3041億円(構成割合20.4%)で昨年に引き続き最大生産額となった。以下、その他の代謝性医薬品が6306億円(同9.9%)、消化器官用薬が5873億円(同9.2%)などとなっている。昨年3番目に多かった中枢神経系用薬は、消化器官用薬に次ぐ生産額で、5659億円(同8.9%)だった。
3月22日に開催された厚労省の「重篤副作用総合対策検討会」は、関係学会や日病薬等がまとめた10種類のマニュアル案を概ね了承した。今後、表記等の修正が加えられ、4月末までに厚労省や医薬品医療機器総合機構のホームページで公表される予定。同検討会では、06年11月に間質性肺炎など9種類のマニュアルを公表しており、今回のマニュアルの公表で19種類の重篤副作用疾患別対応マニュアルが揃う(いずれも医療従事者向けと患者向けのセットで公表)。
今回公表予定のマニュアルは以下のとおり。
(1)薬剤性過敏症症候群
(2)再生不良性貧血(汎血球減少症)
(3)出血傾向
(4)薬剤性貧血(溶血性貧血、メトヘモグロビン血症、赤芽球ろう、鉄芽球性貧血、巨赤芽球性貧血)
(5)無顆粒球症(顆粒球減少症、好中球減少症)
(6)血小板減少症
(7)血栓症(血栓塞栓症、塞栓症、梗塞)
(8)播種性血管内凝固(全身性凝固亢進障害、消費性凝固障害)
(9)間質性腎炎(尿細管間質性腎炎)
(10)急性腎不全
3月22日に開催された薬事・食品衛生審議会の一般用医薬品部会で、厚労省は、医療用医薬品の有効成分を一般用医薬品に転用する“スイッチOTC薬化”を促進する方針を示した。スイッチOTC薬化はメーカーにとって開発リスクが大きい(新たな臨床試験の実施や審査期間の長さなど)ため件数が少なく、2000年以降の5年間でみずむし・たむし用薬など14成分の承認にとどまっている。
厚労省は、日本薬学会にスイッチOTC薬化する候補成分のリストアップを委託し、薬食審で関係学会等の意見を踏まえて議論、それをもとにスイッチOTC薬の有効成分リストを作成・公表する流れを想定。2007年度から毎年実施するとしている。