2007年5月1日号
制度の対象拡大で3類型示す
厚労省「第7回介護保険の被保険者・受給者範囲に関する有識者会議」
2月半ばまでに08年度改定の答申を予定
中医協「第103回総会」
未承認薬使用問題で“CU制度”導入へ
厚労省「第6回有効で安全な医薬品を迅速に提供するための検討会」
厚労省は、介護保険の被保険者と受給者の範囲を拡大する場合の制度設計について、これまでの議論や調査結果等をまとめた「論点整理案」を4月10日の介護保険制度の被保険者・受給者範囲に関する有識者会議に提示した。
制度拡大のパターンは、A類型:「高齢者の介護保険」の制度を維持するが、財政安定化等の観点から、被保険者・受給者を30歳に引き下げる、B類型:要介護状態となった原因や年齢を問わずサービスを受給できる「普遍化」を進め、被保険者(負担者)については稼得収入のあるすべての人とする、C類型:B類型と同じく「普遍化」を進めるが、対象年齢を20歳以上とする――の3類型に整理。将来的には拡大の方針だが、会議では慎重意見も根強く、2009年度からの実施は見送って引き続き議論することになった。
省のスケジュールでは、6月までに、中医協の検証部会や診療報酬調査専門組織各分科会(DPCや慢性期など)が行っている調査等の報告を受け、7月に検討項目案を中医協に提示する。
08年度は、若人の調剤報酬改定と同時に後期高齢者の調剤報酬を決めることになるが、前回答申した2月15日が「4月改定のギリギリの日程」(医療課長)のため、医療課では年明け早々に諮問を出し、2月15日までに答申を得たいとしている。前回改定で諮問と答申の間に行ったパブコメや公聴会については、支払側委員から次期改定でも実施を求める声が挙がった。
4月19日に開催された「有効で安全な医薬品を迅速に提供するための検討会」では、承認前の医薬品の“治験外提供”や“継続提供”、治験未実施薬の“個人輸入”によって、医療現場で国内未承認薬が使用されている状況に関して議論した。
このような状況の改善策として、同日の検討会では、未承認薬の使用を例外的に許可する「コンパッショネート・ユース(CU)」の制度化が厚労省から提案された。制度化の論点に挙げられたのは、(1)CU制度の対象薬を将来的に承認に結びつけるべきか、(2)重篤な疾病で代替治療法がない場合のほかに要件は必要か、(3)CU制度での未承認薬の提供主体はメーカーか医師か、(4)製造・販売等の許可や副作用報告等の必要性はどうするか、(5)医師やメーカー、国の責務をどうするか(副作用被害救済制度や感染症被害救済制度の対象にはなり得ないのではないか)――の5点。