2007年5月15日号
5年ぶりに診断基準などを改訂
日本動脈硬化学会「07年版動脈硬化性疾患予防GL」
国保医療費の地域差は約11.6倍
厚労省「2006年度医療費マップ」
3大死因の死亡率が下がり自殺が上昇
厚労省「都道府県別にみた死亡の状況−平成17年都道府県別年齢調整死亡率の概況」
日本動脈硬化学会は4月25日、「動脈硬化性疾患予防ガイドライン」の改訂版を発表した。改訂は5年ぶり。改訂版では、従来の「高脂血症」を「脂質異常」に改めたほか、診断基準と管理目標値に用いていた「総コレステロール値」を「LDLコレステロール値」に変更して、善玉のHDLコレステロールが高いために総コレステロール値が高いと診断される人と区別した。
また、患者カテゴリーは「A」「B」「C」という表記から「一次予防」と「二次予防」に区別し、一次予防を「低リスク」「中リスク」「高リスク」と分類した。このうち低リスクでは、生活習慣の改善に重点を置いた。その他、「メタボリックシンドローム」や「脳卒中」などを新規に記載した。
厚労省は4月27日、2006年度の医療費マップを発表した。それによると、07年度の国保被保険者1人当たりの実績医療費は全国平均37万1000円で、前年度比8000円の増加となった。
都道府県別で最も高かったのは北海道の47万3000円で、以下、山口県(47万1000円)、広島県(47万円)、高知県(46万9000円)、鹿児島県(45万7000円)などが続いた。逆に低かったのは、沖縄県(29万1000円)や千葉県(29万6000円)で、医療費の高い地域と低い地域の地域格差は約1.6倍だった。
実績医療費に対し、年齢構成の違いなどを補正した「地域差指数」(全国平均:1.00)でもトップは北海道(1.217)だったが、福岡県(1.206)や徳島県(1.191)など西日本で高く、千葉県(0.857)や長野県(0.883)など東日本で低い傾向が見られた。
3大死因である悪性新生物、心疾患、脳血管疾患の年齢調整死亡率※(以下、死亡率)が5年前(2000年)より低下していることが、厚労省が4月26日に公表した「都道府県別にみた死亡の状況−平成17年都道府県別年齢調整死亡率の概況−」でわかった。
それによると、2005年の全国の死亡率は男性:593.2人(対2000年比▲41.0)、女性:298.6人(同▲25.3)で、男女とも低下した。死亡率が最も高かったのは、男性が青森県で733.4人、女性が栃木県で324.4人だった。
死因別にみると、悪性新生物は、男性:197.7人(同▲16.3)、女性:97.3人(同▲6.2)、心疾患は男性:83.7人(同▲2.1)、女性:45.3人(同▲3.2)、脳血管疾患は男性:61.9人(同▲12.3)、女性:36.1人(同▲9.6)などとなっている。これら3大死因の死亡率が低下した一方で、男性の自殺による死亡率は0.9ポイント上昇した。
※年齢調整死亡率:年齢構成のばらつきを調整して人口10万対で算出したもの。厚労省は人口動態統計(月報・年報)で粗死亡率を公表しているが、年齢構成によって高齢者の多い地域では高くなり、若年者の多い地域では低くなる傾向があるため、5年ごとに年齢調整死亡率を公表している。