2007年6月15日号
学部新設ラッシュで定員割れが5校に1校
厚労省「第1回薬剤師需給の将来動向検討会」
化学療法等の専門スタッフ育成に重点
厚労省「第5回がん対策推進協議会」
子育て世代よりリッチ?―高齢者世帯所得400万円超
厚労省「2006年国民生活基礎調査」
2006年度からスタートした薬学教育6年制がスタートしたが、それを見越して薬学部新設・増設が相次いだせいか、「今年度は私立55校の5校に1校が定員割れ」の状況にあることが、5月28日に初会合が開催された「薬剤師需給の将来動向に関する検討会」でわかった。同日は、委員から、定員割れが相次いだ状況に言及し、「将来的に薬剤師の質を維持するのは困難」など、質向上のための6年制がかえって質低下を招きかねないとする指摘が挙がった。
同検討会では、(1)薬剤師が従事する職域の実態および将来の需要予測、(2)薬学入学定員数の状況を踏まえた薬剤師の供給予測、(3)需給動向が薬剤師・薬学生の資質に与える影響等の考察――などを検討項目に挙げているが、全国的な状況だけでなく、都市部と地方の状況の違いなどを踏まえた議論を求める声も上がった。
厚労省の「がん対策推進協議会」は5月30日、今後10年間で重点的に取り組むべき課題や目標などを盛り込んだ「がん対策推進基本計画」を了承した。基本計画で重点課題とされたのは、(1)放射線療法および化学療法の推進とこれらを専門的に行う医師等の育成、(2)治療の初期段階からの緩和ケアの実施、(3)がん登録の推進――の3点。
基本計画では、専門的にがん診療を行う医師(特に放射線療法や化学療法の専門医)や薬剤師、看護師、診療放射線技師等に対する卒後研修を充実させ、これらの医療従事者が協力して治療に当たる体制を構築していく必要があるとしている。
厚労省が5月30日に発表した「2006年国民生活基礎調査の概況」によると、06年6月1日現在の世帯総数は前年比488世帯増の4753万1000世帯で、このうち65歳以上の高齢者のいる世帯は1828万5000世帯で、全体の38.5%(対前年比0.9ポイント減)を占めていることがわかった。高齢者世帯で最も多い家族構成は「夫婦のみ」(29.5%)で、次いで「単独」(22.4%)となっており、約5割が家族全員高齢者という状況だった。18年前には4割を占めていた3世代同居の世帯は、20.5%とほぼ半分に減少した。
高齢者世帯の1世帯当たり平均所得金額は301.9万円だが、世帯主が65歳以上の世帯に限定すると442.2万円になり、子育て世代(30歳代)の世帯より約100万円少ない程度だった。