2007年10月15日号
“情報提供”から“情報活用”にシフト
厚労省「第1回医薬品安全使用実践推進検討会」
年金・医療・介護の一元管理に向けた検討がスタート
厚労省「社会保障カード(仮称)の在り方検討会」
主治医の服薬状況把握にお薬手帳の活用を想定
社保審「第12回後期高齢者特別部会」
2007年度から、医薬品の安全性情報をこれまで以上に医療現場で有効活用し、副作用等を回避することを目的とした「医薬品安全使用実践推進事業」を推進している厚労省は、9月27日、医師や薬剤師、看護師等で構成する「医薬品安全使用実践推進検討会」の初会合を開いた。同検討会では、電子カルテを活用して医師が安全性情報を把握できるシステムなど、先進的な取り組みを行っている5医療機関から情報収集し、年度末をめどに、指針や医療機関向けの事例集を盛り込んだ報告書をまとめる。
厚労省はこれまで、副作用情報の収集・評価・情報提供を行ってきたが、ドクターレターや医薬品・医療機器等安全性情報等の医療現場での活用状況までは把握してこなかった。一方、副作用等の発生件数に減少が見られないことや、安全性情報以外にも重篤副作用疾患別対応マニュアルなどもあり、情報のあふれすぎを指摘する意見もあることから、先進例をもとに現場への効率的な安全性情報の伝達方策を検討する。
厚労省は9月27日、年金や医療、介護に関する情報を一元的に管理する「社会保障カード(仮称)」の導入に向けた検討を開始した。検討会は、論点を整理した上で保険者団体等との意見交換を行い、07年12月に基本構想を取りまとめる。
2011年度の実現を目途に進められる社保カード構想は、政府・与党が7月に公表した年金記録漏れ対策に盛り込まれたもので、国民が1人1枚ずつ持つ社会保障番号付きカードで年金の受給や医療機関の受診などを可能にするというもの。セキュリティ対策などが検討課題になるが、同日の検討会では「国民に対するメリットがわかりにくい」といった意見が委員から相次いだ。
社保審の後期高齢者医療の在り方に関する特別部会は10月4日、後期高齢者医療の診療報酬体系の骨子をまとめた。
後期高齢者の外来医療では、患者の病歴、受診歴や服薬状況、他の医療機関の受診状況等を集約して把握する「主治医」がキーパーソンになるが、厚労省は服薬状況の把握には「お薬手帳の活用しかない」としている。
また、質の高い疼痛緩和ケアの提供が重要になる終末期医療では、医療用麻薬の保管管理や廃棄などについて、薬剤師が患者宅へ出向いて説明するなど“行動派”にシフトすることを求めている。