2008年5月1日号
根拠なき先発品使用は生活保護停止も検討
厚労省「生活保護の医療扶助における後発医薬品に関する取り扱いについて」
長寿医療制度は「これまで通りの医療」をアピール
厚労省「長寿医療制度でここがよくなる!!」
中医協の新会長に遠藤氏、エビデンス重視を強調
中医協「第127回総会」
厚労省の社会・援護局保護課は4月1日付通知「生活保護の医療扶助における後発医薬品に関する取扱いについて」(社援保第0401002号)で、生活保護(生保)受給者に後発医薬品の使用を指導するよう福祉事務所に対して要請した。
通知では、後発医薬品のある先発医薬品が使用されているレセプトを単月点検の実施時に抽出し、慢性疾患等で後発医薬品を継続使用している生保受給者について、薬局に処方せんの写しの提出(手数料100円/処方せん1枚)を依頼するよう求めている。
常に「変更不可」欄にサイン等がある処方せんについては処方医に確認を行い、医学的理由がない場合は後発医薬品を選択するよう口頭指導する。その後も先発医薬品の使用が継続している場合は文書で指導し、さらに先発医薬品を継続使用している場合は生保の停止等を検討することとしている。
今年4月からスタートした長寿医療制度(後期高齢者医療制度)について、“必要な医療が受けられなくなる”“主治医を決めたら他の医療機関にはかかれない”――など、周知不足による混乱が続いていることから、厚労省は4月18日、長寿医療制度のメリットを説明した資料「長寿医療制度でここがよくなる!!」をまとめた。
資料では、1カ月の医療が6000円分に制限されるとの“誤解”に対して、医療が制限されることはなく、必要な医療はこれまでどおり受けられる点を強調。さらに、75歳以上の高齢者は必ず担当医(高齢者担当医)を決めなければならないのではなく、希望者が医師に申し出るもので、担当医は患者の希望でいつでも変更できるほか、病状にあわせていつでも好きな病院に行くことができる――と説明している。
中医協は4月23日の総会で、4月7日付で退任した土田武史前会長の後任に遠藤久夫氏(公益委員)を選出した。遠藤氏は学習院大学経済学部教授で、2005年4月から公益委員。
会長就任のあいさつで遠藤氏は、「近年の厳しい財政制約の中で決まる改定率のもとでは、個別点数の設定を誤ると医療提供に大きな影響を及ぼし、ひいては患者の便益を損ねることにつながりかねない」と、中医協の役割の重要性を強調した。また、前回改定の検証結果をもとに2007年にリハビリの再改定を行ったことに触れ、「調査結果によっては診療報酬が修正されるというルールが確立された」と指摘。「中医協の議論はもはやエビデンスなしには進まない」と、エビデンスを重視する方針を明確にした。