2008年12月1日号
06年度のマイナス改定が社会保障給付費の伸びを抑制
国立社会保障・人口問題研究所「2006年度社会保障給付費」
後発医薬品に変更した処方せんは3%台
中医協「第137回総会」
インフルエンザ発生時は電話診療も可能に
厚労省「第10回新型インフルエンザ専門家会議」
2006年度に医療や年金、福祉等に社会保障各制度から給付された社会保障給付費は、89兆1098億円に上ったことが、国立社会保障・人口問題研究所のまとめでわかった。
高齢社会の進展等により社会保障給付費は過去最大を更新し続けているが、対前年度伸び率は1.5%増にとどまり、03年の0.8%増、1955年の1.4%増に次いで、統計開始以来3番目に低い伸びだった。同研究所によると、06年度の診療報酬改定が過去最大の▲3.16%だったことが影響しているという。
分野別でみると、31.5%を占める「医療」は前年度比66億円減の28兆1027億円だった。「年金」は47兆3253億円(対前年度比1兆322億円増)、「福祉その他」は13兆6818億円(同3015億円増)で、このうち介護対策分は6兆601億円(同1806億円増)だった。
※「医療」には、医療保険、老人保健の医療給付、生活保護の医療扶助、労災保険の医療給付、結核、精神その他の公費負担医療、保健所等が行う公衆衛生サービスに係る費用等が含まれる
日本薬剤師会は11月19日、中医協・総会に「後発医薬品の使用状況調査」の中間報告を提出した。それによると、83.6%の薬局が「後発医薬品調剤体制加算」を算定していた。
9月に受け付けたすべての処方せんのうち、1品目でも後発医薬品を調剤した処方せんは42.9%。「変更不可」欄に処方医の署名等がない処方せんは59.8%だったが、そのうち1品目でも先発医薬品を後発医薬品に変更した処方せんは3.4%、後発医薬品の銘柄変更調剤をした処方せんは0.1%にとどまった。後発医薬品に変更しなかった理由は、「患者が希望しなかったため」が4.8%、「先発医薬品の含量規格に対応した後発医薬品がなかったため」が4.4%だった。
同調査は、9〜10月に全国2000薬局を対象に実施、450薬局から回答を得ている。
新型インフルエンザの発生時のサーベイランスや予防と封じ込め、医療提供体制や情報の提供や共有体制などについて議論する
厚生労働省の「新型インフルエンザ専門家会議」は11月20日、各種ガイドラインの改定版をまとめた。その一つである「医療体制に関するガイドライン」では、慢性疾患患者の長期処方に伴う服薬コンプライアンスの低下や薬剤の紛失などを回避するため、薬局は、電話での服薬指導などを検討するよう示した。
また、慢性疾患患者に対しては、抗インフルエンザウイルス薬などの処方せんの発行を電話診療で可能にすることを示した。薬局には、抗インフルエンザウイルス薬の備蓄の徹底とファックスなどによる処方せんの応需体制を整備するよう求めている。
「第10回新型インフルエンザ専門家会議資料」
http://www.wam.go.jp/wamappl/bb14GS50.nsf/vAdmPBigcategory40/DC79F3B3281594484925715C000EAFAA?OpenDocument