2009年7月15日号
院外処方率60%台目前にして前年比マイナスに
厚労省「2008年社会医療診療行為別調査結果の概況」
将来ビジョンに日本版HER盛り込む
政府・IT戦略本部「i-Japan戦略2015」
社保審で次期改定の基本方針の議論を開始
社保審「第8回 医療部会」
厚生労働省が6月25日に発表した「2008年社会医療診療行為別調査結果の概況」(集計レセプト数=医科:37万3738件、調剤:7万3715件)で、医科の院外処方率は前年比0.6ポイント低下して59.3%になったことがわかった。同調査は、6月審査分のレセプトから調剤行為等の状況を調べたもの。院外処方率が低下したことについて厚労省は、07年の伸びが大きかったことを挙げ、減少に転じたかどうかは今後数年の推移を見て判断するとしている。
薬効分類別の薬剤点数の構成割合は、入院外も調剤も「循環器官用薬」が20%超で、以下、「その他の代謝性医薬品」「中枢神経系用薬」「消化器官用薬」が多かった。
政府のIT戦略本部は7月6日、IT分野で中長期的に実現する政策目標を掲げた「i-Japan戦略2015」を策定した。「電子政府・電子自治体分野」「医療・健康分野」「教育・人財分野」を三大重点分野に位置付け、「医療・健康分野」では「日本版EHR(Electronic Health Record)」(仮称)の実現などを盛り込んだ。
日本版EHR(仮称)を実現することによって、在宅患者を含めた処方せんの電子交付や調剤情報の電子化を推進し、処方せんをもとに調剤した調剤情報を患者や医療機関にフィードバックすることが容易になることから、より安全で利便性の高い医療サービスを受けられるようにするとしている。実現のための方法として、処方・調剤情報のデジタル化に必要な制度の確立、処方せんの電子化や医薬品データマスタ等標準の整備・維持を挙げた。
社会保障審議会・医療部会は7月9日、2010年度診療報酬改定の基本方針の策定に向けて、前回改定時より2カ月早く議論をスタートした。
委員からは、前回策定した基本方針の結果を検証する必要があるとの指摘が挙がったほか、救急や産科、小児科、外科など、崩壊した地域医療の再構築には診療報酬の大幅な引き上げが必要との主張が相次いだ。また、医療安全を確保するには「適切な情報提供を行う仕組みなど、医薬品の提供体制をどうコントロールするかが重要」などの指摘も上がった。15日には、医療部会とともに基本方針を策定する医療保険部会が開催される予定。