2009年8月1日号
PT設置で改定基礎データ乖離の原因究明
中医協「第138回診療報酬基本問題小委員会」
医療保険部会でも次期改定の議論スタート
社保審「第32回 医療保険部会」
調剤レセプト電算化率が9割を突破
厚労省「最近の調剤医療費(電算処理分)の動向の概要〜2008年度版〜」
中医協・基本小委は7月15日、2008年の「社会医療診療行為別調査」のデータを検証するプロジェクトチーム(PT)の設置を決めた。PTは専門家や事務局などで構成する。
「社会医療診療行為別調査」は診療報酬改定の基礎資料として用いられるが、2008年の調査結果とメディアスの同時期のデータを1日当たり伸び率で比較すると、入院外で10.3%もの乖離が生じていた。PTでは、大きな乖離が出た原因の究明を8月中に行う予定。また、原因を排除するなどデータを補正することで改定の基礎資料として活用できるデータになるかを検証する。
7月9日に社会保障審議会・医療部会が診療報酬改定の議論に着手したのに続き、医療保険部会(部会長=糠谷真平・独立行政法人国民生活センター顧問)でも改定の基本方針策定へ向けて議論を開始した。
同日は、日医委員が「地域医療が荒廃した原因のひとつに“選択と集中”がある」として診療報酬全体を引き上げるよう要望したが、経済団体委員らからは「昨今の経済情勢や健保組合の財政状況に十分に配慮すべき」、「全体を一律で引き上げると救急などの大変な科が他に埋没する」、「急性期医療を支える診療報酬の観点から、財源配分を大胆にシフトし、ダイナミックに見直す必要がある」など“選択と集中”を強調する意見が相次いだ。
一方、患者や国民を代表する委員からは「人口30万人程度の地域に必ず分娩施設があるような“分散と公平”も必要」との意見も上がった。
2008年度の調剤医療費は5兆4402億円(対前年度比5.3%増)だったことが厚労省のまとめでわかった。処方せん枚数は7億2008万枚(同1.8%増)、1枚当たり調剤医療費は7555円(同3.4%増)だった。
電算化率は91.2%で、調剤医療費の4兆9630億円分、処方せん枚数の6億5638万枚分が電算処理された。電算処理された処方せん1枚当たりの調剤医療費の内訳は、技術料の割合が26.2%(同3.1%増)、薬剤料の割合が73.6%(同3.3%増)だった。
厚労省は「2012年度までに、後発医薬品の数量シェアを30%(現状より倍増)以上にする」という目標を掲げているが、2008年度のシェアは18.0%にとどまった。また、薬剤料ベースでみた内服薬に占める後発医薬品の割合は6.3%。薬効大分類別で割合が高いのは、ビタミン剤44.6%、呼吸器官用薬14.2%、消化器官用薬9.9%など。