2010年4月1日号
医師による薬の説明、“よくわかった”は4割
厚労省「2008年受療行動調査(確定数)の概況」
チーム医療で薬剤師に期待される役割は処方提案や薬学的管理など
厚労省「チーム医療の推進について(「チーム医療の推進に関する検討会」報告書)」
「剤形と規格の同時変更が可能」などを明記
日本薬剤師会「2010年度調剤報酬改定Q&A」
徘徊SOSネットワークの構築など提案
東京都「認知症の人と家族を支える地域づくりの手引書」
外来受診の際に医師から受けた説明で、「薬の効能・副作用」について「よくわかった」人は4割――。厚生労働省が3月16日に公表した2008年の「受療行動調査の概況」から、医師の説明に対する患者の理解度についての、そんな状況が明らかになった。
調査は、08年10月に500病院の患者を対象に実施したもので、有効回答数は15万4185人(外来10万946人、入院5万3239人)。
それによると、外来受診の際に医師などから受けた説明で最も理解度が高いのは「病名・病状」で、95.7%が理解していた(「よくわかった」59.3%、「大体わかった」36.4%)。次いで、「治療の方法・期間」が90.7%(「よくわかった」47.6%、「大体わかった」43.1%)、「栄養・運動等の生活習慣上の指導」が87.0%(「よくわかった」41.1%、「大体わかった」45.9%)などが続く。「薬の効能・副作用」については、86.2%が理解していたものの、「よくわかった」は40.8%にとどまり、「大体わかった」(45.4%)という理解が多かった。
厚労省の「チーム医療の推進に関する検討会」は3月23日、看護師や薬剤師等がチーム医療で担う役割を具体的に示した報告書をまとめた。
報告書では、薬物療法の高度化、後発医薬品の種類の増加、在宅医療を始めとする地域医療など、薬剤師の活躍の場が拡大しているにもかかわらず十分に活用されていない現状を指摘。現行制度下で薬剤師が実施できる業務として、(1)薬剤選択、投与量、投与方法、投与期間等について積極的な処方の提案、(2)薬物療法を受けている患者(在宅患者を含む)に対する薬学的管理(患者の副作用の状況の把握、服薬指導等)、(3)外来化学療法を受けている患者に対するインフォームドコンセントへの参画および薬学的管理、(4)入院患者の持参薬の確認・管理(服薬計画の医師への提案等)、(5)抗がん剤等の適切な無菌調製――などを挙げた。
日本薬剤師会は、3月19日、2010年度調剤報酬改定について、後発医薬品調剤体制加算の算定要件や、後発品を他剤形や他規格に変更調剤する際の条件などを示したQ&Aを作成し、都道府県薬剤師会に向けて発信した。 Q&Aは13個ある。主な内容は下記の通り。
●後発医薬品調剤体制加算において、算定要件である「数量ベース」での後発品調剤率の計算に、生活保護者など公費単独負担の患者への処方薬を含めない。
●医師への疑義照会なく、剤形や規格が異なる後発品に変更調剤するには、「変更後の薬剤料が上がらない」ことが条件の一つだが、薬価(円)が上がるという意味ではなく、薬剤料(点)が上がらないという意味である。
●例えば、1錠10mgの処方を「1錠20mgを半錠化する」といった、半錠への変更も可能。●剤形と規格それぞれが、変更の条件を満たしていれば、例えば、「5mg普通錠剤×2」を「10mgカプセル×1」といったように、剤形変更と規格変更を同時に行っても良い。
●特定薬剤管理指導加算については、「過去の薬剤服用歴の記録を参照した上で」とあるが、初めて来局した患者についても算定できる。
●複数の適応を有する医薬品であって、特定薬剤管理指導加算の対象範囲とされている適応以外の目的で使用されている場合は、同加算の算定は認められない。
東京都は3月24日、認知症高齢者が行方不明となったときに早期発見・保護につなげる「徘徊SOSネットワーク」の提案などを盛り込んだ「認知症の人と家族を支える地域づくりの手引書」を公表した。認知症の人と家族を地域で支える仕組みについて、2007年から実践と検証の両面で検討してきた東京都認知症対策推進会議の専門部会である「仕組み部会」の成果の一つとして公表されたもの。
手引書では、徘徊などによる行方不明者が発生した際に、情報を共有し、早期発見・保護につなげる「徘徊SOSネットワーク」を区市町村が中心となって構築することを提案。地域包括支援センター等を中核とし、町会・民生委員・商店会などの地域の組織や医療機関・介護サービス事業者・警察・消防・家族介護者の会など、地域の多様な資源の参加を想定している。
手引書は、都の公式サイト「とうきょう認知症ナビ」に掲載予定。