2010年5月1日号
「薬学分野の展望」でチーム医療や在宅医療への貢献を重視
日本学術会議薬学委員会 報告書
緩和薬物療法の認定薬剤師、第1号が誕生
日本緩和医療薬学会
日薬がTBSに誤った報道内容に謝罪と対応策を要求
日本薬剤師会
日本学術会議の薬学委員会(委員長:橋田充京都大学大学院薬学研究科教授)は、薬学の将来展望や課題を示した報告書「薬学分野の展望」をまとめた。その中で、チーム医療の拡充や発展の必要性や、在宅医療などを通して薬局薬剤師が地域医療に貢献することの重要性を指摘した。
報告書では、薬剤師が患者の病態や治療状況を把握し、処方設計の提案を行うなどによって、医師の負担軽減を図ることが可能だとし、今後、その傾向が進んでいくとの考えを示した。
また、在宅を担う薬剤師は、(1)検査値などに基づいて、薬の効果や副作用の発現のチェックを行い、患者の病態や治療状況を的確に把握する、(2)医薬品情報に基づいた処方の支援、(3)輸液の調製、(4)医師やコメディカルとの連携――などが求められると指摘した。
専門薬剤師制度については、薬物療法に関するジェネラリストである薬剤師が、固有の専門性を身に付けることで、各領域での薬物療法へのさらなる貢献が期待されると言及。今後、診療報酬や薬剤師配置などの制度の変更や、薬剤師の裁量範囲の拡大などを求めていく考えを示した。
日本緩和医療薬学会は4月14日、第1回緩和薬物療法認定薬剤師の認定者を発表した。今年1月の認定試験での合格者と昨年の暫定認定者を含む71人の認定薬剤師が誕生した。病院薬剤師が68人で、薬局薬剤師は3人だった。
試験は2010年1月24日に実施され、60人が受験し50人が合格した。また、暫定認定者は、試験制度の設計や試験問題作成などを行うため、昨年1月に行われた試験を経て選抜された22人で、「緩和薬物療法認定薬剤師暫定認定者」として公表されていた。このうち、21人が正式承認された。
認定試験の受験資格は、同学会の会員であり、薬剤師の実務経験が5年以上、緩和ケアの従事経験が3年以上で、対象となる講習会などの受講による100単位以上の取得、全国レベルの学会での発表などが条件。認定取得には、それらの条件を満たした上で、緩和ケア領域の薬剤管理指導を行った症例を提示し、試験に合格する必要がある。
日本薬剤師会は、4月16日にTBS系列の番組「がっちりアカデミー」の中で、お薬手帳や患者負担金に関して「誤った内容もしくは誤解を招く表現などがあった」として、TBS側に「今後、同様のことがないように」との申し入れを行った。
「誤った内容」とは、同番組で「薬の説明書を毎回もらっていたら90円のソン」と紹介し、薬剤情報提供書(同番組内では「薬の説明書」としていた)と「お薬手帳」を取り違えて示した上、「断ると患者負担金が90円安くなる」と報道したもの。実際のお薬手帳の患者負担金は20〜50円。これらの報道内容に対して、日薬会員から多数の抗議が同会に寄せられたという。
日薬の申し入れに対して、TBS側は、次回(4月23日)の同番組内で訂正を行うとし、訂正内容について同会の意見を求めた。訂正内容は、同番組のホームページに掲載されている。「『お薬手帳』の受け取りについては、安全なお薬の服用のため担当の薬剤師さんとよくご相談して下さい」と補足している。