2012年2月13日号
第1類医薬品の文書説明は約3割にとどまる
−厚労省、一般用医薬品販売制度定着状況調査結果を発表−
日常診療でもHbA1cが+0.4%のNGSP値に
「動脈硬化は全身の血管に起こる疾患」の認知度は約半数
−動脈硬化に関する意識調査−
厚労省から公表された「平成22年度一般用医薬品販売制度定着状況結果報告書」で、第1類医薬品の販売時に薬剤師が文書で情報を提供している薬局は3割にすぎないことが明らかになった。薬事法では、第1類医薬品の販売に際しては、薬剤師が文書で情報を提供することが義務付けられている。
調査は2010年12月〜2011年2月にかけて、覆面調査員によって行われた。全国6,829の薬局と薬店を対象に、一般用医薬品のリスク分類別の陳列状況、従事者の名札着用状況、購入者への情報提供、相談対応の状況について調べられた。また、一般用医薬品を取り扱っているウェブの販売サイト200件も調査対象になった。
報告によると、第1類医薬品の購買時に何らかの説明を行った薬局は93.5%。そのうち、文書を渡したが説明はなかったが2.9%、口頭のみで説明したのは59.1%だった。文書による詳細な説明があったのは31.5%にとどまり、前年度調査の50.3%よりも大幅にダウンした。
また、離島や継続使用者を除き、郵便等販売ができないことになっている第2類医薬品を販売しているサイトが67.4%もあることを明らかになった。
調査結果を受けて厚労省では、自治体や販売業者に制度遵守を徹底するよう通知した。
日本糖尿病学会は、血糖値のコントロールを評価するHbA1cを2012年4月1日から日常診療でもこれまで使用していたJDS値から国際標準であるNGSP値に表記を変更すると発表した。NGSP値はJDS値に0.4%プラスした値になり、たとえばこれまで6.1%だったものが6.5%と表示されることになる。
海外のほとんどの国ではNGSP値が使われており、日本でも国際標準に合わせる方向で検討されてきた。論文や学会では国内でもすでにNGSP値が使われているが、4月からは日常診療でもNGSP値を使うことになった。ただし、特定検診や保健指導では、2013年3月31日まではJDS値を用いる。
これに伴い、JDS値とHGSP値の混乱を避けるために、NGSP値は「HbA1c(NGSP)」もしくは「A1C」(大文字)、JDS値は「HbA1c(JDS)」もしくは「HbA1c」と記述するように示している。
なお、JDS値からHGSP値への換算は正確には、検査医学標準物質機構(ReCCS)による以下の換算式で計算することができる。値は小数点以下第2位を四捨五入して算出する。
NGSP値(%)=1.02×JDS値(%)+0.25%
JDS値(%)=0.980×NGSP値(%)−0.245%
ジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社メディカルカンパニーによる動脈硬化に関する意識調査結果によると、狭心症や心筋梗塞などの動脈硬化性心疾患がある場合、ほかの血管にも動脈硬化が起きている可能性があることを知っている人は55.4%にすぎないことがわかった。
調査は、2011年12月上旬に、国内在住の20〜50代の男女800人を対象に、動脈硬化についての認知度や理解度などを調べる目的で、インターネットを介して行われた。
その結果、動脈硬化が重症化すると心筋梗塞、脳梗塞が起こり得ることを知っている人は、それぞれ92.0%、91.0%で、入院治療が必要なほどの重症例は多くの人に認識されていることがわかった。
しかし、動脈硬化性疾患の代表的な症状に関する質問では、たとえば、閉塞性動脈硬化症(PAD)について、足の冷えやしびれ、または歩くと痛み休むと治るといった症状を伴うことを知っている人は12.1%にとどまった。また、狭心症についても、胸以外に歯や背中が痛くなったり、首の付け根や下顎に圧迫感を感じることがあることを知っている人は18.0%と認知度が低いことがわかった。