今年4月から全国の中学校で「くすり教育」が始まった。中学3年生を対象に、保健体育の授業で年間1〜2時間行われる。「健康な生活と疾病の予防」をテーマに、自分で健康を管理し改善していく思考力や判断力を養うことを目的として、医薬品の主作用と副作用についてや適正使用について学ぶ。2008年3月に告示された新学習指導要項に基づくもので、今年から完全実施になった。
国内の製薬会社によって作られた「くすりの適正使用協議会」(旧称 日本RAD-AR協議会)は、学校薬剤師が教諭と連携して授業に参加し、相互作用などの専門的な事柄を説明することが望ましいとしており、学校薬剤師の活躍の場が広がると考えられる。同会が運営する「くすり教育担当者のための教材サイト」で、くすり教育に関する資料などを公開している。サイトはこちら。
http://www.rad-are.com/
厚生労働省保健局医療課の吉田易範薬剤管理官は、3月25日、東京都内で開催された「じほう調剤報酬改定セミナー」で講演。2012年度調剤報酬改定等の概要とポイントについて解説した。
12年度改定では、新たな「薬剤服用歴管理指導料」を算定する要件として、お薬手帳を通じた情報提供や残薬確認、薬剤情報提供文書による後発医薬品の情報提供が加えられたことに言及。残薬管理に関しては、「長期処方の後半では残薬が発生する可能性が高くなる」と指摘し、「前回処方がどのような状況か患者がどの程度、残薬をもっているかわかる」と、薬歴の有効活用に期待を示した。
吉田管理官は、2011年1月の行政刷新会議の「規制・制度改革に関する分科会」(いわゆる仕分け)で、通常40点の基本料を特例点数の24点に一元化すべきであるとの基本的な考え方が示されたことにも言及。「「中医協でも議論し、特例24点(1月に4000枚超、集中率70%超)は、薬局の経営効率面における違いを考慮したもので、該当する薬局は軒数ベースで数%程度とごくわずか。原則40点に一本化されているとされた」と、一元化が見送られた経緯を説明。ただ、一部業界紙などでは、分科会でさらに検証を行う動きがあると報じられていることを踏まえ、「何らかの議論が始まる可能性もある」と語った。
医薬品医療機器総合機構(PMDA)は、患者や家族から副作用の報告を直接受けるシステムを試験的に開始した。PMDAのホームページに開設された窓口からオンラインで、副作用の症状や副作用を引き起こした思われる医薬品、受診した医療機関など、約40項目について報告を受ける。
副作用などによる健康被害の報告は、製薬会社や医療機関、薬局などが厚労省に行うことになっているが、このシステムの導入で、患者や家族からの直接の報告が加わり、今までの報告ではわからなかった健康被害の実態が把握できることが期待される。
PMDAでは、患者から報告された情報を副作用の発生傾向を把握し安全対策を進めるために利用するとしている。また、収集された情報は、厚労省や該当する医薬品のメーカーなどに提供するなど、安全対策の一環として公表することもあるという。
PMDAによる患者副作用報告の窓口はこちら。
http://www.info.pmda.go.jp/fukusayou_houkoku/fukusayou_houkoku_attention.html
日本医師会総合政策研究機構(日医総研)が3月に公表した「病院の在宅医療機能および退院支援に関する実態調査」で、保険薬局との連携が進んでいる中小病院は3割程度に過ぎないことがわかった。
調査は、2011年11、12月にかけて、437の在宅支援病院を含む全国の200床未満の病院1931施設を対象にアンケート形式で行われた。有効回収数は607件。
アンケート結果のうち、保険薬局との連携が「かなり進んでいる」とした病院は3.3%、「まあ進んでいる」は26.4%だった。これに対し、「あまり進んでいない」とした病院は27.0%、「ほとんど進んでいない」は13.7%となり、4割程度が進んでいないと答えている。また「わからない」とした病院は25.7%だった。
連携が進んでいるのは、ケアマネージャー(65.1%)、地域包括支援センター(55.7%)、訪問看護ステーション(42.7%)だった。
ネグジット総研が2012年の調剤報酬の改定に伴い、500人の勤務薬剤師を対象に行った調査で、今回の改定を受けて約半数の薬剤師が後発医薬品の採用数を増やすと考えていることがわかった。
採用数を増やすと答えた薬剤師は45.6%で、今までと変わらないと答えた薬剤師の40.0%を上回った。また、後発医薬品調剤率については、点数が19点となる35%以上を目指すとした薬剤師は35.0%で最も多かった。
改定内容で興味がある項目については、「お薬手帳を通じた薬歴管理と薬剤情報提供の一体的実施」とした薬剤師は72.6%、「後発医薬品調剤体制加算率の変更」は50.4%、「処方元医師による一般名処方の推進」は50.2%にのぼった。
お薬手帳の運用や後発医薬品の調剤率によって薬局の収入に少なからず影響が及ぶことから、これらの項目に関心が高まっていると推察できる