宮城 敦子 氏
沖縄出身。昭和61年第一薬科大学卒業後、12年間病院薬剤師を勤め、平成11年クララ薬局開設。”五感を癒す”をコンセプトに“心身ともに健康になるお手伝いをする”薬局づくりに力を入れる。また2年ほど前から、地元のテレビやラジオなどの健康情報番組に出演するなど、薬局の外でも活躍中。
ドラッグストアに寄せられる悩みや相談に的確に答える
〜DI室を立ち上げ、各店舗をサポート
那覇市の南隣にある南風原町にあるクララ薬局の宮城敦子さんは、“五感を癒す”をコンセプトにアロマテラピー、ハーブ、カラーセラピー、最近ではドクターズコスメ、ヒーリングミュージックなどを導入した薬局づくりに取り組んでいる。街の人々がリラクゼーションできる空間を提供し、“心身ともに健康になるお手伝いをする”のが、宮城さんのテーマだ。
カラーセラピーやアロマテラピーを取り入れて
宮城さんがカラーセラピーを始めたのは開局前にさかのぼる。病院を辞め薬局を開設することに少なからずプレッシャーを感じていた宮城さん。カラーセラピーに出会い、気持ちが落ち着く感覚を知ったと言う。そこで本格的に学ぶために講習を受け、英国オーラソーマ社認定プラクティショナーの資格を取得した。
その後、クララ薬局を開局した宮城さんは、しばらくは調剤業務や薬局運営に追われる日々を送った。しかし業務が落ち着くとともに「“病気になった人に医師の処方せんに基づいて調剤するだけ”でいいのかと思い始めた」そうだ。
宮城さんは、「病気に打ち勝つ自らの力を高めていくことが大切であり、それをサポートするのが薬局の役目ではないか」と考え、まずは自らが興味を持ったカラーセラピーを薬局に取り入れその手がかりを探すことにした。
カラーセラピーとは色彩の効果を用いて、安らぎを与え、心身のバランスを整えるものだ。宮城さんの学んだオーラソーマと呼ばれる手法は、1980年代英国の薬剤師でありリフレクソロジスト(足治療医)であるヴィッキー・ウォール氏によって創られたカラーセラピーシステムで105本のボトルから、好きなボトルを4本選んでもらい、セラピストが色彩心理学を基に選ばれたボトルを読み解き、コンサルテーションしていく。
さらに宮城さんはアロマテラピーにも興味を持ち始めた。興味を持つとすぐに行動に移すのが宮城さん。「横浜にある『かもめ薬局』がアロマテラピーやハーブをフランスから輸入して、患者さんや地域の方々の健康管理に活かしているというのを知り、見学に行った」。
そして、かもめ薬局が扱うフランスの医療機関や薬局で使用されているアロマオイルをクララ薬局に導入した。もちろん自らも日本アロマテラピー協会のアロマテラピーアドバイザーの認定を取得。2003年には会社で費用を負担し、薬剤師1名と事務スタッフ1名に認定資格を取得させ、今では薬局全体でアロマテラピーに取り組んでいる。
不眠だが薬を飲みたくない、更年期でイライラが続いているといった人々から「何か良いアロマオイルはないか」と相談が寄せられるという。
質問は待ったなし、診断を求められることも
クララ薬局ではカラーセラピーを行うための専用のスペースを増築し、有料のセラピーを行っている。専用ルームではアロマオイルをデュフューザー(噴霧器)で噴霧させて香りを漂わせ、ヒーリング音楽を流し、リラックスしてゆっくりと話ができる環境を整えている。
費用は40分(3000円)としているが1〜2時間話し込む人がほとんどだ。「薬局の投薬カウンターでは話してくれなかったことを、話してくれることも多い」。
先日も睡眠導入剤の処方せんを持って来局した若い主婦が、カラーセラピーを希望してきた。不眠が続いていること、ご主人が威圧的な態度で何ごとにも理解を示さないこと、イライラすると自制が効かなくてつい3歳の子どもに手を出してしまうことなどを話し始めた。遠方から嫁いで来ているため、沖縄に友達がいないことも彼女のストレスを強くしているようだ。さらに自分の親も厳しく、子どもの頃は叩かれることもあったと話し始める。
女性が話している間、宮城さんは聞き役に徹する。「私はカウンセラーでも医師でもないのでカウンセリングはできないし、治すことはできない。聞いてさしあげることしかできない。でも多くの人たちは話すことで、自分で解決方法を見つけて帰っていきます」。
その女性も話しながら、自分の気持ちや行動が整理されていき、納得して落ち着きを取り戻していったという。そしてスッキリした顔で帰って行ったという。
宮城さんは、その女性が帰りがけに言った「こんなに長い時間、人と話をしたのは何年ぶりかです」の言葉に、驚くとともに納得したという。「聞いてくれる人がいれば、解決できることも多いのに、でも相談する相手がいない。話すだけで解決できるのなら、ここがそういう場になればいい、と思いました」。
聞いてくれる人がいれば、解決できることも
健康食品に関する質問も、回答が難しいものの一つだ。「“食品”という名称がついていることから、安全だと思ってしまう人が多いのですが、当社でイチョウ葉エキス(健康食品)に関する調査を行ったところ、海外では併用禁忌である血流改善、血栓予防のためアスピリンを服用している患者が複数存在したなど、問題となる場面もあります」と藤田さん。健康食品を提供するドラッグストアや薬局での情報提供が非常に重要と考え、どうすれば健康食品をより安全に適切に使用してもらえるか、そのための情報提供はどうあるべきかを日々、模索していると話す。
現在、カウンセリングの需要が高まっているにもかかわらず、精神科や心療内科への敷居はまだまだ高い。「薬局なら気軽に立ち寄れるし、薬剤師が相手なら健康の相談もできるので安心、とのことで少しずつカラーセラピーが浸透してきた感があります」。患者だけでなく口コミで一般の人が訪れることも増えてきた。
「薬局と言えば、昔は、何か身体の不調があれば相談に行くようなところだった。薬剤師はそれに対して、OTC薬や薬局製剤で症状を緩和する方法を提案していたわけです。それと同じことで、クララ薬局ではカラーセラピーやアロマテラピー、ハーブなど様々な方法を使って、健康維持、管理のお手伝いをしたい」と話している。
クララ薬局のホームページはこちらhttp://www.kurara.com/
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